第534回 酷暑を乗りきるために
子供の頃に「うだるような暑さ」という言葉をはじめて聞いたとき、「ウダルってなんだ?」と疑問に思ったのですが、そのままにしていました。もちろん、うだる、とは“茹だる”…つまり、あまりの暑さに頭が茹でタコのごとく茹で上がってしまうようだ、ということなのですが。
その頃の私は、調べてあっさり判ってしまわずに、それがどんな意味なのかを勝手に想像して遊ぶのが好きでした。例えば「ツイの(終)の住みか」は「遂に手に入れることができた家のこと」ように。
…で、当時の私が考えた“うだる”は、「あまりの暑さに何もすることができず、ただ、時間をうだうだ、だらだらと過ごしてしまう」、という意。これは、今考えてもまぁ悪くない解釈だと思います。実際、もし茹でられちゃったらなすすべもないわけですから。
まぁ、そんなくだらないことはさておき、凄まじい暑さが続いています。ウダルというよりも、うんうんウナルような暑さです。暑さにうなって暑さとたたかって、一日が過ぎていきます。こうなると芸術的行為(おおげさだけど、要はピアノの練習のこと)とか、想像的行為(これもおおげさ。お料理のこと)をする意欲がわきません。
南国の人はあまり働かない、といわれがちですが、このような南国的な暑さを体験してそのわけが心底わかりました。働かない、ではなく、働いてはいけないのです。それはとても危険なことです。ここで無理して働いては、熱中症へまっしぐらです。家族や仕事仲間にも、迷惑がかかってしまいます。
汗をかくということは、いうまでもなく、体の中の水分や塩分が外に出てしまうということ。昨日は関東地方に『高温注意報』なるものが発令され(初めて?)、ニュースの中でアナウンサーがしきりに「水分と塩分を補給して、熱中症にならないよう充分に注意してください」と呼びかけていましたが、果たして補給するのは水分と塩分だけでよいのでしょうか?
いいえ、汗と一緒に流れ出てしまうのは塩分だけではないのです。カリウム、マグネシウム、カルシウム…といった、体にとって大切なミネラルも汗と一緒に出てしまうそうなのです。
ミネラルは体内で生成することができないので、日々の食事から摂取する必要があります。ビタミンもそのほとんどが体内でつくられることが無いので食生活から補う必要があります。ただ、ミネラルは骨や歯になるカルシウムに代表されるように身体を構成する物質であるのに対し、ビタミン自体は身体の構成成分になりません。またミネラルのリンはエネルギーに密接に関わっているそうすが、ビタミンはエネルギーにはならないとか。
つまりミネラルは、見方によってはビタミン以上に大切なものなのです。不足すると、無気力になったり、体が痙攣しやすくなったり、関節が痛くなったり、イライラしやすくなったり…と、体にも精神にも影響をきたすといわれています。そしてストレスこそ、体内のミネラルやビタミンを減らしてしまう原因だったりするのです。
暑い中、無理して働くとどうなるか?汗と一緒に大切なものが体外に流れ出るのは必至。そのうえ無理なんてしようものなら、ストレスでさらに体に一段と大きなダメージが及ぶことになりかねません。
とすると、この暑さに負けないためにはきちんと海藻や小魚、良質なナッツやゴマ、お味噌などの発酵食品やレバーなどを摂取して、ミネラルを補うこと、そしてあまりストレスをためないこと、の両方が大切だということになります。
そう!何が言いたいのかというと、こういうときにはあまり働きすぎて、自分にストレスをかけないようにすることが肝要だということです。「おいおい、働くことでストレスなんかたまらないよ」という方は別ですが。
ただ、本当に恐いストレスって、本人がそれと自覚できない潜在的な“隠れストレス”ともいわれているのです。となれば、猛暑に負けないためにはなるべく自分を甘やかし、ひたすらラクして美味しいものを食べ好きなことをして過ごすのが体には一番!…あ、別に自分を擁護しようなんて思っているんじゃありません。
さて。今日は昨日までのカンカン照りとうってかわって、涼やかな雨の一日になりました。本来ならこういう時に練習貯めでもするべきなのでしょうが、実際にはただ「ホッ」として、久しぶりに温かい紅茶なんぞを淹れてまったりして終わってしまいました。
結局、あれですかね。なんのかんの言って、ただの現実逃避ですかね。とほほ。