第443回 バッハは米だ!
来月行なわれる、萱田小学校(千葉県八千代市)でのコンサートの打ち合わせがありました。私がこの地に住みついた翌年から、恒例のように毎年、PTAの方から声をかけていただいているので、かれこれ8年目になります。
今年も、当日のタイムスケジュールから、ステージと客席のセッティングをどうするか、進行についてや譜面台、マイクなどの準備、はたまたゲストの方へのお車代に至るまで、音楽事務所や音楽事業者でもそこまではなかなか行き届かないと思われるような細やかなところまでを、約一時間かけてきちんと丁寧に詰めてくださって、頭が下がる思いでした。
過去に係りの方の引継ぎ用ノートをチラッと拝見したことがあるのですが、来客者やアンケートなどのデータは勿論、なんと当日の出演者の昼食の写真まで貼ってあって、驚きました。同時に、コンサートは、出演者一人のちからでは成り立たないものなのだ、と改めて実感しました。なんとしても、今回のコンサートも皆さんに喜んでいただけるものにしたい…。思いが空回りしないよう、気を引き締めた一日でした。
打ち合わせの中に「“質問コーナー”は、今年も行ないますか?」という議題もありました。例年、会場の皆さんから、質問をしていただく時間をとっているのです。今年も行なうことにしたのですが、ふと、過去に受けて、なかなか上手にこたえられなかった質問が頭をよぎりました。それは「一番好きな作曲家は誰ですか?」そして「一番得意な曲は何ですか?」というものです。
何が得意か、というのは自分では意外に分からないものなのです(私だけ?)。何も“得意”ではないような気持ちに襲われることもしばしばですし…。それに、演奏は“得意”になってするものでもないし、そもそも何が“得意”かは、自分よりもお客さまによって判断されるのもののような気がして、この質問を受けた時には、はて、どうお答えしたらよいものか、困って「う~ん…」と、うなってしまいました。
誰が好きか、という質問は、それよりは答えやすいものです。が、やはり「好きな人は、その時々で変わるのです。昔はそれほど好きだと思っていなかった人に、ある時期から強く惹かれるようになることもありますし…」などと、歯切れが悪くなってしまします。それは「お酒は何が一番お好きですか?」と聞かれるときと似ています。
贅沢なもので、湿度が高いときと低いとき。とても喉が渇いているときとそうでもないとき。食前、あるいは食事中なのか食後なのか…などなど、その時の状態によって、美味しい!とか、飲みたい!と感じるものは変わるのです。それでも、いつもコンスタントに好んで頂くのは、スパークリングやシェリーなども含むワイン類と日本酒です。醸造酒が体にあっているのかも知れません。中でも辛口のスパークリングワインは大好きで、毎日頂いても飽きません。いや、考えてみたら毎日でも飽きないものを、人は“好んでいるのである”と認識するものなのかもしれません。
では、私にとって、“毎日でも飽きない”作曲家とは…?筆頭にあげられるのはバッハ。続いてベートーヴェンやシューベルトでしょうか。特にバッハは日本人にとってのお米のような、私にとっての大切な“炭水化物”なのです。ベートーヴェンはどちらかというと良質な蛋白質のイメージでしょうか。(そうするとシューベルトはビタミン・ミネラル?)
ところで、数年前、イタリアで「体重÷身長2」で求められるBMI値が18以下の やせすぎているモデルさんは、ファッションショーに出演禁止、というガイドラインが制定されました。。もともとはスペインから始まった“やせすぎモデル出演禁止運動”は、「若い女性が、やせすぎに憧れて健康を害する危険がある」という理由からでした。痩せすぎは肥満同様、あるいはそれ以上に不健康で、危険だというのです。
ここだけの話、かくいう私も一時期、これ以上落ちたら献血もできない!というところまで、体重が落ちてしまったことがありました。でもこの夏、見事に5キロ復活して4年ぶりに数字的には(!)モデルにもなれる体重になりました。
体重が少なかったときは体が軽くていくらでも歩けたし、いかにも「自分は元気だ!」と思いがちだったのですが、手足が痙攣しがちだったり便秘がひどかったり、やはりどこか不自然さがありました。体重が増えはじめたら、気のせいかイライラすることも少なくなったし、なんといっても、ラクにいい音がでるようになってきた気がします。
この秋は、お米をがっつり食べて、バッハもいっぱい弾いて、心身ともにパワーアップするぞ!周りの皆さん、この根拠のない(?)元気に振り回されないよう、ご注意あれ…。