第399回 衝撃の初体験!
先日は都内のとあるスタジオで、今度のCDの編集やらマスタリングやら、もろもろの打ち合わせなどがありました。エンジニアのIさんとともに作業につい白熱して、また、デザイナーのMさんとのジャケットデザインの打ち合わせも同時で進めたりしたこともあって思ったよりも時間が早く過ぎてしまい、ふと気づくとすでに最終の電車に間に合わない時間になっていました。最終に乗れずに都内で町で一夜を明かすなんて、何年ぶりでしょう。ひょっとしたら、一人で…、というのは初めてのことかもしれません。
前作に続いて今回もジャケットを担当してくださっているデザイナーのMさんが、心配していろいろ考えてくださいました。「どうしたらいいかしら。あ、美奈子さんにはまったくそぐわない感じでなのですけど、マンガ喫茶って、ご存知ですか?何かと問題になっていますよね…。私も最近までまったく知らなかったんですけど、この間初めて使ってみたら結構快適で、びっくりしたんですよ。きちんと管理されていて安全だし、マンガなんて読まなくても雑誌もパソコンも自由に見られますし、個室になっているから仮眠をとってもいいし…とにかく一人で、人に気兼ねなく好きなことできるんです。渋谷ならオススメのところをご案内できますけど、そこに行ってみます?」実は彼女は、エンジニアのIさんの奥さま。彼らは一緒に、葉山の自宅に帰ることになっていたのですが、遠回りして渋谷のセンター街の入り口に私を落としてくれました。真紅のアルファロメオの、ほれぼれするようなエンジン音とともに去っていく彼らを見送って時計を見ると、午前3時半でした。
教わった場所までは、そこから歩いてものの2分ほどでした。ビルのエレベータをおりると…。ホテルのフロントカウンターのようなものがシックにしつらえてあり、きちんと制服を着た男性が節度ある態度で迎えてくれました。「いらっしゃいませ。禁煙、喫煙はどちらをご希望されますか?お部屋のタイプはいかがなさいますか?」案内されたところは、靴を脱いでゆったりくつろげる二~三畳ほどのスペースでした。机の上にはパソコン、液晶の他、電気スタンドや鏡、コットンなども自由に使えるように用意されいます。ロビー(?)には、エスプレッソやカプチーノ、紅茶各種にミルクや炭酸系ソフトドリンク、フルーツジュースやイチゴミルクなどなど、ホテルの朝食バイキング顔負けのフリードリンクコーナー、それにアイスクリームの食べ放題サービスまで!
本棚にはマンガのみならず、数え切れないほどの雑誌がスタイリッシュに整然と陳列され、フロントでは使い捨ての歯ブラシまでいただけました。希望すれば携帯電話の充電もできるそうです。店舗によってはシャワールームまで完備されているのだとか。この内容で一時間の利用料が420円、一晩でも(朝8時まで)1200円とは…。
これはあっという間に時間が過ぎてしまいそうです。コーヒーばかり飲んで少し胃が痛くなっていたし、とても喉が渇いていたので、野菜ジュースやドリンクヨーグルト、ミルクココア、ハーブティーやらを、立て続けにあれこれ飲ませてもらったうえに、ちゃっかりソフトクリームまで頂いて(コーンとカップが選べたので、楽しそうだからコーンに自分でマシンから注いで作ってみました。うず高く大盛りにできて、大満足!しかも、なかなか美味なのでした)、栄養補給も疲労回復も、両方ばっちりさせてもらいました。
驚いたのはサービスだけではありません。利用者…とくに女性が多かったのは意外でした。こんな時間に?と思ったのですが、とんでもない。ドリンクカウンター付近は常に人が行きかって、まさにファミリーレストランのようです。若い人が多いけれど寝ている人に配慮して、皆ひっそりと静かに行動したのも印象的でした。
世の中、こんなことになっていたなんて…。ちょっとした浦島太郎状態でした。マンガ喫茶、ネットカフェ、サイバーカフェ…呼び名は色々あるようですが、若者がこんなところを使いこなしてしまったら、安心して(?)終電も乗り過ごしてしまえるし、なかなか家に帰らなくなってしまうかもしれません。初めてのマンガ喫茶滞在…かくして、たくさん楽しませてもらったのではありますが、何やら複雑な気持ちになってしまいました。
でも、一番驚いたのは始発電車に乗る人の多さです。週末でもないのに、座席の半分近くが埋まっているのです。そして乗り換えの日本橋駅に着くと、今度は降りた人がいっせいに走り出すではありませんか!どうやら皆、乗り継ぎ時間にまで精通しているようなのです。すごい。しかも、前日から外で過ごして、こんな早朝から猛ダッシュなんて…。
ちょっと面白そうなので、私もつられて走ってみました(ソフトクリームやミルクココアでエネルギーは補給済みだったので、充分その元気がありました)。すると、ちゃんとぎりぎりで東西線に乗り換えることができたのです。そしてその東西線がまた、かなりの混み具合なのでした。う~む、都会人、おそるべし。
久しぶりの完徹…。翌日は少し頭がぼんやりしたものの、アメリカから帰った時差ぼけほどの辛さはなく、無事に仕事をこなしてその夜はぐっすり安むことができました。でも、顔を見てみるとお肌は確実にダメージを受けている気が…。それでなくても、空気が乾燥してきているこの季節、やはり無理は美容によくありませんよね。…と、いうわけで、本日は早めにお酒を飲み始め、夕食をとって、たっぷり睡眠をとろうと思います。皆さま、お休みなさい!