第396回 元気です

今日9月25日は、名ピアニスト、グレン・グールドの誕生日です。1932年生まれですから、生きていれば76歳、ということになります。

バッハの『ゴールドベルク変奏曲』の名演(怪演?)でセンセーショナルなデビューを果たすも、20代半ばであっさりステージから退き、あとはもっぱらスタジオでの録音活動に専念した、エキセントリックな伝説的ピアニスト…というのが一般的に知られているグールド像なのではないでしょうか。実際、彼に関する書物は他のどんなクラシック界の演奏家のそれよりも多く、今なお“グールド崇拝者”的な存在があるようです。

実は録音だけでなく、ユニークなドキュメント番組を企画・制作して自身も出演したり、またエッセイを出版したり…と、精力的にマルチな活動をしていた人でもあったとのことです。反面、50歳で亡くなる前の数年間は、ほとんど食事もとらないでお酒を飲んではピアノを弾いているような状態だったそうで、久しぶりに彼に会った友人たちは、もともと栄養失調気味だったのに、顔色はいっそう悪くなり、老人のように背中が曲がってすっかり白髪になったそのやつれ方に驚きを禁じえなかったといいます。

そういえばこの頃、しばらくぶりに会った知人から「元気?大丈夫?」と聞かれることが重なっている気がします。原因は私の体が以前よりも小さく(細く…)なっている、ということのようです。先日、ひょんなことから8年前に受けた健康診断書が出てきたのですが、それをみると確かに、今よりも10キロ多い体重が書き込まれていました。「学生時代だって美奈ちゃん、健康的でちょうどいい感じだったし、それでも細いな~、と思っていたくらいだったのに…もうちょっと太れないの?」と、お叱り(?)を受ける場面も…。むむ、これはいけない。

世の中では、多くの人が痩せることやダイエットを成功させたい!と、切に願っているようで、書店に行っても必ずそのようなコーナーが設けられているのを目にしますが、私から見るとちっとも太っていないし、今のままでとても魅力的なのに「痩せたい」と願っている女性が多いように思います。

一方では、成人病を気にして食事や生活習慣を制限しする傾向があることも、指摘されています。“メタボリックシンドローム”“コレステロール”などについての誤った認識をうったえる本も話題を呼んでいます。何でも”過ぎたるは及ばざるが如し”ということなのでしょうか。

それを考えると、現在の私の体重は“及ばざる”もいいところ。何しろBMI値が少なすぎて、ヨーロッパではモデルになる基準にすら達していないほどなのです。周囲の人から「細すぎる」と言われる私に“うらやましい”と言ってくれる心優しい人もいるかもしれませんが、本人はもちろん、まったくそうは思っていません。第一、それが本当にキレイで美しいプロポーションなのだとしたら、少なくとも周囲の人から「大丈夫?」と心配されることはないと思うのです。

そもそも、キレイな人ってどんな人をいうのでしょう?あのモデルさんのような感じ?あるいはあの女優さん?

人によって理想はそれぞれだと思いますが、私にとってのそれは“気持ちのよい幸福感とパワーが漂っている人”。なんだかいいな、近くにいたいな、と感じたり、思わず見守って(関わって)いたくなるような魅力を持っている人です。「きっとこの人の傍にいたら、みんな幸せな気持ちになるに違いない」という雰囲気を持っている人、といいましょうか…。う~ん、でもこうして書けば書くほどに、なんだか自分には足りない部分だわ、と、つくづく反省してしまいます。

明日26日は、大好きなフランスのピアニスト、アルフレッド・コルトーの誕生日(1877年生まれ。ちなみに、亡くなったのは1962年で、命日6月15日は妹の誕生日です)。コルトーのような偉大な魅力あふれるピアニストには程遠いけど、せめて「いつも元気そうね」と言ってもらえるようになりたいものです。

中身はともかく、外側だけでも豊かになれるように、この秋は美味しいものを楽しくいただきたいと思います!(あ、それと、もちろん美味しいお酒も…)

2008年09月24日

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