第323回 嬉しいコメント

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先週、SYMPOSIONⅡの東京公演が終わりました。私が弾いたのですが、なんだか周りの方々に支えられ、導かれて、何ものかに「弾かせてもらった」ような感じがしています。

コンサートに寄せて、これ以上ないような温かいメッセージを下さった友人Yさん。彼女からのメッセージが、本番直前のこわばりがちな心と体を、どんなに優しくほぐしてくれたことか…!そして、コンサート終了後、すぐにご自身のブログで感想を書いて下さった、Kさん、Yさん、Tさん。私がピアノにこめた思いを、しっかりと受け止めてくださって、また、音にならない音、言葉にならない言葉までを感じ取ってくださって、心から感謝しています。

…その他にも、多くの方々の心からのお励まし、思いやりに、本当に大きな力をいただきました。今日は、そんな大切な方々がブログに書いてくださった、今回のコンサートへのメッセージや感想を、ご紹介させていただきたいと思います。私の掛け替えのない宝物です。

皆様、本当にありがとうございました。これからも、ほそぼそと、とぼとぼと…でもそんな一歩一歩を大切に踏みしめながら、少しずつ前に歩いていきたいと思っております。これからもよろしくお付き合い下さいませ。
(画像は、八千代市のYさんのブログからいただきました)

■東京からずいぶん遠い島に在住のYさんから■

その人の奏でる音色は海です

その人の奏でる音色は風です


その人の生はピアノの音色とともにあります


もしピアノが弾けなくても

感じることはできるから…

たゆたう音色に感じる心を持ちましょう

音色の向こうにある世界に触れられるよう指を伸ばしましょう


その人の音色に境界線はないから


その人の音色は無垢だから

ただ身をゆだねればいい

それだけでいい


後は感じる想いのままに


あなただけの想いのままに

扉を閉めて帰る時


頬に浮かんだ微笑みは

音色と遊んだ今宵の証

鈴木美奈子さま
コンサートの成功を心から祈っていますo(^-^)o


■佐倉市のKさんから■

前回の『SYMPOSIONⅠ-ベートーヴェンと恋人達-』の時は、研ぎ澄まされた緊張感を感じたのですが、今回は、選曲からなのか、お客様の雰囲気なのか、美奈さんの心境からなのかわかりませんが、緊張感の中にもとても暖かいものを感じました。

美奈さんの演奏は、毎回感じる事ですが、ひとつひとつの音がすべて美奈さんの表現したい音にコントロールされているのでしょう。聴いていると、ある曲では体中で興奮し、ある曲では森の中にいるような静寂を感じます。北欧の自然や人の感情が、そのまま音になっている気がしました。

そして、鍵盤の上を、ある時はしなやかに、ある時は力強く舞う指、離れたところからでも感じる絶妙なペダルワーク、音はもちろんの事ですが、その弾いている姿、発するオーラがまた美しいのです。

CDももちろん素晴らしいのですが、この美しさはリサイタルでしか感じる事ができません。

そして僕は、その全体の美しさにのめりこみ、贅沢な時間はあっという間に終わってしまうのです。

アンコールの『月の光』が終わる時、響き続ける音が少しずつ、本当に少しずつ消えていくのを聴きながら、『あぁ終わっちゃうんだ・・・』と、少し寂しくなりました。

次回はいつなのかわかりませんが、未体験の方は仕事を休んででも来た方が良いと思いますよ。


■八千代市のYさんより■

ひとつひとつの楽曲に丁寧な説明をしてくれるので僕のようなクラシックの門外漢でも理解や興味をつなげながら演奏を楽しむ事ができる。

清流や、濁流や、おだやかな湖面を感じながら、ふとグリーグが郷愁を感じたのはどの国だったのかな?やはりノルウェーから離れたところ?とか考えを膨らませて行った。前半のメインディッシュはグリーグが若い頃作曲したというピアノソナタ。コンソーナンスの高い、エモーショナルな作品だ。第一楽章から第四楽章までを一気に味わう。

さて休憩時間に今回の~シンポシオン~のコンセプトに従ってワインを頂く。吹き抜けの空間はステージを囲むようになっていて、二階席のワインコーナーで、会場で会ったSさんやKさんと前半の音楽について熱っぽくおしゃべり。これも楽しいですね。映画みたあととかすぐ誰かにそのこと話したくなったりするでしょ。あんな感じです。

心地よくほぐれたところで、後半シベリウスへ。
踊り歌で軽やかにスタート。僕は今回初めて知ったのだけれど、歌劇(オペラ)とはちがう音楽劇というのがあるらしく、その「クオレマ」からの引用で「悲しきワルツ」。ちなみに「クオレマ」とはフィンランド語で「死」を意味する言葉。

彼女にとって特別な「ソネット」から樹の組曲へ。そしてシベリウス自身がピアノ用に編曲したフィンランディアを聴く。うーんこりゃ右手の中指が痛くなったりするよなぁ。とか思いながら。。。それでもそんなことはまったく感じさせずにあのドラマティックな曲が終わりました。ロシアの圧政下において国を愛する一人の音楽家のスピリッツが伝わってくるようでした。

アンコールではオープニングの「朝」に対応して「月の光」で締めくくり。

北欧を代表する二人の音楽家をたっぷり楽しめました。北欧の自然や緑や水や空気、そしてあるときは激しくぶつかり合い、あるときはゆるやかに流れる民族の歴史など垣間みた気がします。気持ちよくあっという間に時間が過ぎてしまいました。素敵な時間でした。


■長野からかけつけて下さったTさん■

私の好きな曲ばっかり、っていうせいもあったと思いますが、とてもすばらしいリサイタルだったと思います。

前半のグリーグ。最初はちょっと緊張なさっていた感じでしたが徐々にエンジンがかかっていって、滅多に演奏されない(CDも少ない)「ピアノ・ソナタ」は渾身の力演でした。

後半のシベリウスはさらにすばらしく、弱音のタッチの美しさと音色のコントロールの巧みさによって、シベリウス独特の長い旋律線と呼吸感を紡ぎ出していたのが見事でした。美奈子さんはたいへん細身な方なのですが、最後の「フィンランディア」はこのお体のいったいどこからこんな音が出てくるの?というくらいマッシヴな迫力に溢れていて圧巻の一言。

アンコールのドビュッシーが絶美!透明感と音のブレンド感が秀逸でフランスものにも優れた資質をお持ちなのが分りました。これはなんとしてもわが愛するフォーレをいつか聴かせていただかないと!!

曲間のMCも分りやすく好感が持てました。そして何より(予想したとおりだったのですが)たいへんな”美女”でした!!!!!

2007年02月21日

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