第318回 アイスクリームな気分
ああ、今夜もやってしまいました…夜中のアイスクリーム。あまりカラダにはよくないと分かってはいるのですが。「甘いものなら、夜じゃなくて昼に食べればいいのに」…はい、勿論!昼は昼で頂いていますとも!いつの頃からか、甘いものは朝・昼・晩と、一日三回頂く習慣になってしまっています。
お酒も好きですが、コンサートが近くなると、夜まで練習した後、まずは甘いものでホッと一息つきたくなります。永年の習性なので、もう修正できそうにありません。お酒がそうであるように、甘いものもなんでも大好きですが、季節を問わず、時間帯を問わず、場所を問わず、いつでも「受け入れOK!」なのはアイスクリームです。和菓子もいいけど、いたでも神経が高ぶりがちな練習のあとはミルクの濃厚な風味が“効く(何に?)”ような気がします。留学時代も、レッスンや練習の後、必ず甘いものを食べていましたっけ。
植物系の材料で作られる和菓子からは得がたい、濃厚でちょっぴり危険な(?)動物性脂肪のもたらす幸せな満足感…。ケーキは最初のひと口が一番美味しいビールのようなところがあります(!?)が、アイスクリームはどんどん後を追いかけたくなるのは何故でしょう?…“溶けてしまう”、はかなさゆえでしょうか。
はかなさ、とは儚さ、と書くのですね。すなわち、“人が夢を見る”。花も、今美しく咲き誇っていてもやがて枯れてしまう儚さに愛おしさを感じるものです。素晴らしいオーロラも、水平線に吸い込まれていく夕陽も、刻一刻と変化していく儚さをもっています。人は、強く、揺るぎないものにも魅力を感じますが、一方ではそんな移ろいゆくおぼろげなものに対しても惹かれるところがあるというのは、興味深いことです。ということは、最強なのはその両方をもっているもの、ということになります。
その両方を持っているもの…。その一つが、音楽――演奏――ではないでしょうか。作曲家や演奏者の確固たる信念や思想、表現したいものが「音」というツールによって、明確に揺るぎなく構築されていく一方で、二度と同じパフォーマンスにはならない儚さをも合わせ持っているのです。その演奏にもし、何度弾いても同じものになるような安定感(=慣れ)だけが見えたら、逆にそれはあまり魅力的な生演奏とはいえないような気がしています。勿論、あまりにも不安定で、お客様が心配になってしまうようなものがいいとは思いませんが、かといってあまりにも、作品やステージに対して“馴れ合い”になってしまって緊張感に欠くようなものも、何か寂しい。
例えば、交際を始めたばかりの恋人同士のような新鮮さやときめきと、永年連れ添っている熟年夫婦のような落ち着いた佇まいの両方を演奏に求めては、贅沢でしょうか?せっかく音楽に関っているのだから、願わくばその両方を微妙に合わせもったピアノ弾きになりたいものだ、と憧れてはいるのだけど、現実は厳しそうです。
ところで、故郷の宮城県には名物の「ずんだアイス」を筆頭に、「ササニシキアイス」、さらに「さんまアイス」といった、様々な“ご当地アイス”があります。他にも、「牛タンアイス(牛タンはもはや、はずせない…)」「しじみクッキーアイス(しじみクッキーのクランチ入り。しじみが一粒真ん中にのっているとのこと)」「フカヒレラーメンアイス(単なる“フカヒレ”だけじゃないところがすごい…)」など、試したことのないものが色々あります。「牛タンタルト」やら「フカヒレチーズケーキ」などはまず、ありえないであろうことを思うと、アイスクリームの懐の深さ(?)を改めて感じます。
う~ん、アイスクリーム、また食べたくなってきてしまったけど、最近の健康診断で「コレステロール値が異様に高いので、動物性のものはなるべく摂取を控えなさい」、とお医者様に注意を受けたばかりだったのを思い出しました。コレステロールが高いのは高校時代からの“持病”のようなものなので、今に始まったことではないし、覚悟はしていたのですが、やはり目の前にびっくりするような値を見せ付けられるとちょっとブルーになります。お肉、それほど食べていないのだけど…。やっぱり現実は、キビシイものですね。